株式会社を設立するメリット９　−　株式会社には相続税がかからない！

人間には寿命というものがあります。どんなに元気で活力にあふれた人にも必ず死というものがやってきます。

死というものが訪れた後には相続という問題があります。ある程度の資産を築いた人にとっては相続の問題が一番厄介な問題だと言えます。

個人で事業を行い、その事業主が亡くなった場合にはその事業の資産すべてに相続税を課せられます。税務署は税金の支払いを現金でしか認めていないので「このつぼは先祖代々伝わるつぼで時価に直すと300万円の価値があります。」と言ってつぼを持っていったところで税務署はそのつぼを受け取ってくれません。税金の一番厄介なところは税務署は現金でしか支払いを認めないところです。ですから、相続税を現金で支払うことができなければ資産を売却して現金を調達しなければならなくなります。

しかし、個人事業と違い株式会社には相続税というものがかかりませんし、事業が存続する限り永遠に存在する権利を持ちます。ですから、社長が亡くなってもその社長個人の資産と持っている株券に対しては相続税がかかりますが、会社自体には相続税がまったくかかりません。ですから、クルマ、家などをできるだけ会社名義にしておけば社長が亡くなった場合でも相続税を回避することができます。

また、株券にしても事業をうまくやっていればその社長がなくなるころには会社の株価が株式を公開していないにも関わらず思いがけず高値になっていることがあります。しかし、毎年１１０万円までは贈与税がかからないので株券を子供が幼いときから毎年地道に譲っていれば亡くなるころにはかなりの額の相続税を回避することができます。

相続税という点だけを重視するならば設立する会社の株主を子供だけにするというのもかなり有効だといえます。つまり、社長はあなたで会社を経営するのはあなたですが会社を所有しているのはあなたの子供だということです。そうすれば、あなたが将来亡くなった時にはあなたは会社の株を所有していないので会社に対して相続税が一切かからないことになります。

アメリカのウォルマートという会社をご存知ですか？

日本のSEIYUを買収し日本でも一躍話題になったので最近では知っている方も多いと思います。ウォルマートは１９６２年の創業以来４０年間増収増益を続け今では年間売上高26兆円を超え売上高世界一の会社になったおばけ企業です。世界最大の会社となった現在も対前年比１５％の割合で売り上げ、利益を伸ばし続けています。

ウォルマートの創業者サム・ウォルトン氏は１９６２年にウォルマートを創業した際、店舗が1件しかないにも関わらず、将来のことを考えてサム・ウォルトン氏、奥さん、４人の子供の６人を株主として、会社の株を１/６ずつ所有しました。

会社の急成長とともに株価が上がり１９８５年にアメリカの権威ある経済誌「フォーブス」誌が1年に1度行う長者番付でこの人口５，０００人の町に本社をかまえ、エアコンの壊れたボロボロのシボレーのトラックに乗る男が世界で一番の資産家だという記事を掲載しました。

その当時ウォルマートはニューヨークやカリフォルニアといった大都市には店舗を出店していなかったのでウォルマートというディスカウントストアも、その創業者のサム・ウォルトンという人物もアメリカではまったく無名の存在でした。ですから、アメリカ中の人がその記事には驚きをかくせませんでした。

しかし、翌年度の長者番付ではサム氏は1位から一気に下位へ番付を下げました。それはフォーブス誌が調査を進めていくとサム氏がウォルマートの株を1人で所有しているのではなく家族６人がそれぞれ１/６ずつ株を所有しているのが分かり家族あわせると世界一の長者になるのですが、サム氏１人だと資産を１/６しか持っていなかったからです。

２００２年に発表された世界の長者番付では１位は皆さんご存知のようにビル・ゲイツ氏(資産５２．８ビリオン・ダラー(約6兆3,360億円))ですが、トップ１０の６位から１０位までをウォルトン一家が独占しています。
内訳は６位が３男のジム・ウォルトン氏(資産２０．８ビリオン・ダラー(約2兆5,000億円))、７位が次男のジョン・ウォルトン氏(資産２０．７ビリオン・ダラー(約2兆4,840億円))、８位が長女のアリス・ウォルトンさん(資産２０．５ビリオン・ダラー(約2兆4,600億円))、９位が長男のロブソン・ウォルトン氏(資産２０．５ビリオン・ダラー(約2兆4,600億円))、１０位が奥さんのヘレン･ウォルトンさん(資産２０．４ビリオン・ダラー(約2兆4,480億円))です。

ビル・ゲイツ氏が何年もの間世界一の資産家であるとみんな思っていますし、本や雑誌などでもそう書かれていますが実はそうではありません。上記のウォルトン一家の資産を合計すると１０２．９ビリオン･ダラー(約12兆3,480億円)になり、もしサム氏がまだ生きていて株を1人で所有していたらビル･ゲイツ氏のおよそ倍の資産を持っていることになります。歴史上最大の資産家は石油王ロックフェラー氏の９８ビリオン・ダラー(現在の価値に換算)ですがこの資産額はロックフェラー氏をも超え人類初の１００ビリオン・ダラーを超えることになります。

現実にはサム氏は１９９２年に亡くなりましたが、ウォルマート創業時に家族で１/６ずつ株券を所有していたおかげでサム氏が亡くなった際に何兆円という莫大な額の相続税を回避することができました。

やはり偉大な事業を達成する偉大な人間は将来における先見性にもすごいものがありますね！